長年、危機管理のサービスを提供してきたインフォコム社。阪神大震災をきっかけにボランティアでサービスを立ち上げ、時代の変化に合わせてサービス改善を進めてきました。
しかし、危機管理サービスの市場やターゲットが変化する中で「サービスの進化に、Webサイトのコンテンツやプロモーションが追いついていないのでは?」と課題に感じていたそう。
そこでオービタルコラボレーションズは、パートナーのカタパルト社と協力し、インフォコム危機管理部門のブランド戦略策定を行いました。
ブランド戦略策定のプロセスや、実感している効果についてうかがいました。
目次
インフォコム株式会社
サービスビジネス事業本部 デジタル・サステナビリティ事業部
デジタル・サステナビリティ事業部長 中川 友記 様
プロダクトマネージャー 根岸 紗輝 様
カタパルト株式会社
代表取締役 佐藤 浩志 様
オービタルコラボレーションズ株式会社
代表取締役 平尾 健二
聞き手・文:佐藤まり子
依頼のきっかけは、時代とサービスの変化
ーーオービタルコラボレーションズにブランド戦略策定を依頼したきっかけを教えてください。
中川:平尾さんにWebサイトの改修、プロモーションの支援をお願いした際、一度ブランドの再定義をした方が良いのではとお話しいただいたことがきっかけです。現在の我々の強み、市場での立ち位置、競合他社、ターゲット層など、サービス立ち上げ当初から色んなことが変わってるので…。
根岸:WebサイトのUXに関しては、以前デザイン会社さんと一緒に考えたことがあったのですが、サービス全体のブランド戦略策定に関しては、今回初めて取り組みました。
左:プロダクトマネージャー 根岸様 右:デジタル・サステナビリティ事業部長 中川様
ーー他社との比較はされたんでしょうか。
根岸:していません。平尾さんへの信頼が大きかったので(笑)
ただ、一度お菓子をテーマにしたワークショップを3時間ほど体験させていただきました。ワークショップを通じてブランディングの有用性を強く感じ、これだったらお願いして安心かなと感じましたね。
過去にブランドブランディングの本を読んだり、セミナーに参加したこともあったのですが、ふわっとしたことを言う会社さんが多い印象でした。でも、オービタルコラボレーションズさんとカタパルトさんは、ブランディングの目的が明確だったので、納得して進めることができました。
チーム横断でブランディングに取り組む
ーーブランド戦略を作る過程で、どんな点が良かったと感じましたか?
根岸:営業、プロモーション、カスタマーサクセス、開発、運用、大きく分けて5つの部署から約20人が参加しました。開発、運用チームのメンバーも「自分もブランディングに携わったんだ」と思えたことはすごく良かったと思います。
中川:開発、運用メンバーも一緒にワークショップに参加してもらったのは新鮮でしたね。お互い思ってることを忌憚なく言い合う良い機会になりました。ゲームみたいな感覚で、和気あいあいと進められた点も良かったです。
ーーワークショップは何回行いましたか?
中川:1セッション3時間を、4セッションです。まず課題抽出をして、弊社のサービスが持つ機能的価値と情緒的価値を整理し、ターゲット設定を行いました。その上で戦略を作り、最後はみんなで議論をしました。
根岸:そのかたわらお客さんのインサイトを探るユーザーインタビューも行いましたね。
ーーユーザーのインサイト調査では、どのようなことをしましたか?
カタパルト佐藤:まずインサイトの仮説に沿った写真を用意し、直感で良いイメージ・イメージを選んでもらいます。その上で、なぜこれを選んだのか深ぼりしていきます。右脳的に選び、左脳的に説明してもらうんです。そうすることで、本人も意識してなかった感覚を引っ張り出していきます。
根岸:良いイメージは「インフォコムらしい写真」、悪いイメージは「こんなインフォコムは嫌だ」といった感じですね。
中川:危機管理に対して良いイメージで選ばれると予想していた写真が「こんなインフォコムはいやだ」に入るなど、意外な反応もありました。
根岸:防災とリスク管理の対応をする人は、本当にさまざまで目指すものも違うのだと、今回のインタビューではっきりしました。
インサイト調査を通じて、我々が狙ってくべきターゲット像が明確になったのは、とても良かったと感じます。
ブランディング後、社内・社外で起こった変化
ーーブランド戦略策定後、社内で感じた効果はありますか?
根岸:「社外から認知されるべき姿」が、社内で強く意識されるようになりました。
我々の強みは「危機管理に一気通貫で対応できること」だと強く打ち出し、戦略にまで落とし込めたからだと思います。
カタパルト佐藤:ブランド戦略の核となる言葉は確か開発メンバーの方から出てきたんですよね。
根岸 :はい、普段お客様との接点が限られているにもかかわらず、開発メンバーからこの言葉が出てきたことは嬉しかったですね。ただ、この言葉が力強い意味を持つため、自分たちで言い切って良いものかどうか迷いました…。
カタパルト佐藤:サービスにその価値は十分にあるので、一歩踏み出してブランドが目指す方針を言い張れるかどうか、踏ん切りをつけるかどうかが、一番重要だったのではないかと思います。
踏み切れてからは、他社との差が明確になりました。結局ブランディングって、今ある価値を固めるだけだと意味がなくて、現状からどう前に進めるかが大事なんです。
ーー社内だけではなく、社外からポジティブなフィードバックはありましたか?
中川:これまでは、「安否確認サービスを提供している部署・会社」と見られることが多く、良くも悪くも安否確認のお客様が多かったのですが、ブランディング後は「安否確認を含め、危機管理をトータルで提供する会社」という認識にだいぶ変わってきていると感じます。
「安否確認サービスは、もう導入しているので結構です」と商談が終わらずに、色々な相談をお客様から持ちかけていただけるようになりましたし、我々もお客様の課題をより深掘りしていけるようになったというか、進化を感じます。
ブランド戦略策定の結果、競争力は高まったか?
ーーブランド戦略が、競争力を発揮する手助けになった実感はありますか?
根岸 :ブランディングの結果、軸足をちゃんと持てるようになりました。お客様との商談でも、明確に強みを出していけていると感じます。
平尾さん、佐藤さんには「他社に負けない強みがあるんだから、自信を持ってください」と、何度も言っていただきました。
カタパルト佐藤:インサイト調査で誰に聞いても「インフォコム社は、寄り添ってくれる」と、一言目に出てくるんですよね。人間味があるというか、ちゃんと話を聞いて最後まで寄り添ってくれることが、大きいファクトなんですよ。
それは他社にはなくて、しかもインフォコムさん自身もあまり気づいていない価値でした。これがインフォコム社がずっと培ってきた資産になっている点が、大きな差別化ポイントです。
さらにサービスの強化を目指す
ーー今回策定したブランド戦略をもとにした展望はありますか?
根岸:リスク管理、危機管理を一気通貫で行うために、横の繋がりを強化していきたいですね。
社内のサービスだけではなく、外部サービスとの連携も視野に入れています。
対外的に見せているメッセージと、実際のサービスを一致させることは今後も強く意識していきたいです。
中川:安否確認に対する世間の見方もだいぶ変わってきていると感じます。防災観点だけではなく事業を継続していくために、今動けるリソースがどのぐらいいるかを把握する。少しずつ、そういう見方にシフトしてきています。
災害時に事業を再開する設備がちゃんと動いてるか、どのぐらいのリソースがあれば事業を継続できるか、経営者が迅速に判断できるサービスが、目指すところなのかなと考えています。
オービタルコラボレーションズの支援を一言で表すと?
ーーブランディングのワークショップやインサイトの調査をして、良かった点はありますか?
根岸:社内全体を巻き込んでワークショップに取り組めたことは、本当に良かったです。お客様へのインタビューも、すごく勉強になりましたし、プロジェクト自体も進めやすかったです。
市場の状況も弊社のサービスも変わって来ていたので、本当にいいタイミングでご提案いただきました。
ーーオービタルコラボレーションズのご支援を一言で表すとしたら?
中川:ここまで来たらもう「相棒」ですね。気兼ねなく、色々な相談ができるパートナー会社だと思います。
オービタルコラボレーションズではプロダクト、サービス、組織のブランド戦略策定を支援しています。10ステップでブランディングを学べる体験ワークショップも随時開催。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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